デヴィッド・フォスター・ウォレスが縊死したのは2008年9月12日である。
THIS IS WATERはその自殺の3年前、オハイオ州で最も古い1824年創立のケニオンカレッジの卒業式に招かれ、卒業生に贈ったはなむけの言葉だ。
生涯で一度きりのこのスピーチは、彼の生き方だからこそ、刺さる。
その悲しい最期ゆえに、2010年のタイム誌でコメンスメントスピーチのベストワンと評価されている。
どんなに名のある大学を出たとて、この先待っているものは、退屈、決まりきった日常、ささいな苛立ちであり。
来る日も来る日も、その日常をこなしていく。
毎日、毎月、毎年。
似たような日々の繰り返し。
それが現実。
ぞっとする。
その日々を自分の生き様にするには。が書かれている。
哲学と向き合って、強い自殺念慮を持ちつつ生きてきた彼が見つけたもの。
それが真理である。
真実ではない。真理である。
現実に起きている出来事をどう見るか。
どう解釈するか。
その見方を、選択すること。
それこそが真に学ぶべきことである。
無意識の中で選択して生きている思考を、違う考え方、モノの見方に変換して、新たな思考をクリエイトする。
苛立ち、退屈な日常を現実に変換するには、毎秒おこる出来事に懐疑性を持ち、自分に真摯に向き合い、それは本当にそうなのか?
違う捉え方はないのか?を自問自答しながら見つめていく。
何をどう考えるかをコントロールする術を学ぶこと。
そして、頭の中で無意識になされる思考そのものをリセットすること。
現実の中に、真理を持ちたいならこう過ごすことでしか得られない。
根気がいって地味で、自分に厳しくないとできないけども。
何も疑わず、今のままの自分で世界を見続けていたら、目を向けるべきもうひとつの現実に気付けない。
本当の自由に触れたいなら、視点を変えないといけない。
これは水です。THIS IS WATER. デヴィッド・フォスター・ウォレス著
本当に大切な自由を持ちたいなら、なさなければならないことがある。
この本は何回も読み込まないと、自分のモノにはできない。
が、真理を説いていると感覚でわかるから、類をみない特別な本だといえる。
パニック障害になり、普通に生きられなくなった経験が私にはある。
外に出られないし、食する楽しみもなくなった。
何もできない自分と先の見えない不安に、世界の見え方が一変した。
今までの当たり前が180度ひっくり返った。
THIS IS WATERのように、目で見えない、言葉にはできないものにこそ真理がある。
これを体感するには、体を壊すか心を壊すかして、生の終わりをリアルに意識するようになったら。
会得できる思考法なのかもしれない。
あの時の健康のままで生きていたら、考えもしないし知りもしないモノの捉え方で見る現実は、何に意味を見出して、何が無意味か。
選ぶべきものが明確になり、世界は変わる。
故に、己に降りかかる不幸はあながち不幸ではない。
それは人生のほんの一点、通過点であり、好転させる大事な岐路である。
それもまた、THIS IS WATER.
そこに真理がある。
デヴィッド・フォスター・ウォレスの哲学本である。
とてもおもしろかった。
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