ぼく、、話してもいいのかな。
今まで誰も耳を傾けてくれなかった。
内にある寂しさ、やるせなさ、孤独感。
頼れる大人もいなくて、居場所なんてどこにもない。
学校に行けば教師から見放され、授業で当てられることもなく。
ただ教室の片隅にいるしかなかった。
親には育児放棄され、心の安定する場に恵まれなかった彼ら。
それでも、彼らのうちに枯れずに埋もれていたものは。
ほんのちょっと鍬を入れ水をやるだけで、とてつもなく伸びる。
たくさんの蕾をつけ、ときに花を咲かせる。
日常の言語とは明らかに違う詩の表現。
出来不出来など関係ない。
人の言葉の表面ではなく、その芯にある心にじっと耳を傾けること。
言葉の強さと柔らかさと深みが、熱をもって心の琴線に触れてくる。
こんな言葉の使い方ができる彼らのことを、もっと知りたい。
『奈良少年刑務所詩集 空が青いから白をえらんだのです』
編者は、老朽化のため閉鎖される奈良少年刑務所で9年間にわたって詩の授業を行ってきた作家の寮美千子さん(61)。
詩作を通じて受刑者たちが心にまとった鎧(よろい)を外すことを目指したといい、「詩になった言葉」はその人の人生を変えるほどの力を持つことがあると強調。
「彼らは生涯償い続けなければならないが、人を思う心を育てることが本当の贖罪(しょくざい)につながる」と語る。
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