小さい頃から霊が見えるという。
それは別段怖いものではなくて、生きている人間と同じ姿形らしい。
ただ、物質の体がなくなって魂になったけれども、どういうわけか生前の姿のままそこにいるらしい。
これは、そういう人たちを日常的に見てきたある女性が、東日本大震災の1年後に30人以上に体に入られて。
その人たちの亡くなった時の体験を追体験するという、想像を絶するおぞましい苦しみを経験させられた後に、和尚と共に成仏させるというノンフィクションである。
あの世とこの世の間には、真っ暗な空間があるんだって。
亡くなってから成仏するまでの間は、どうやら、そこにいるらしい。
成仏するには、そこから光を探して歩いていく。
その方へ向かうと、暖かい光の中へ入っていくような、苦しみのないとても気持ちの良い感覚に包まれるような、そんな経験をするらしい。
その光の方へ導くのに、和尚は本堂でお経を唱えている。
いろんな想いを持って、あの世とこの世の間にとどまり続けている人たちの、心情を理解し、死を納得させ受け入れさせるってこういうことなのか、と興味深かった。
でも、現実的に。お経って何のためにあるのか、わからない。
不必要という意味ではなく、様々な宗教の経文があり、絶対にこれじゃないとだめ!というものはないというのに。
供養や浄霊や祈りのために唱えられる。
なんのために。どんな意味を持って。
この本を読んだら、どうしたって経文というものの意義を知りたくなった。
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