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本当の被害者はだれ

刑務所は一大職業訓練校だ。

訓練技師は言う。

彼らはただでさえ、社会に出た時に差別を受ける立場です。

もしも、旋盤作業で指の一本でも切り落としてしまったら、その差別はますますきつくなります。

だから、五体満足で帰してやりたい。

製品の質よりお前の体が大事だと、いつも言って聞かせている、と。

こんなに真剣に他者の人生を考えている人がいるだろうか。

驚くほどやさしく、まっすぐな気持ち。

社会の他の場面では、こんな人にはなかなか出会えないと著者は言う。

犯罪を犯したというだけで、レッテルを貼られる。

未来の剥奪、恐怖、軽蔑、嫌悪。

差別的な目は、刃だ。

社会は何を知っているのか。

なにをもって、その視線で少年受刑者を攻撃しているのか。

バックグラウンドを知りもせず、作られたメディアのフェイク情報に操られ。

今日もそんな刃の世界に戻り、生き続けることを強いられる少年受刑者たちの心は、こんなにも澄んでいるというのに。

この本は、読まなければいけない。

知らなければいけない。

知らないだけで、あなたの視線は彼らの傷を抉っている。

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