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こんな研ぎ澄まされた小説を他に知らない

同じ小説を短期間に2度読むなんて。

2度目の時間を、新たな1冊に費やした方が充実すると思っている。

覆された。

名もなき彼のデビュー作に。

この本はなぜだろう。

1度読み終えて、まず圧倒的に好きだった。

水墨画をテーマにしたものは、初読だったし新鮮で学びもあった。

砥上裕將氏の「線は僕を描く」をひと言で言うなら。

ただ、ひたすらに美しい。

綴られている言葉のセンスが、圧倒的に美しい。

情景や心情の描写に、そんな表現の仕方があるのかと。

幾度も感心する。

言葉少なめに、されど1ミリのズレもなく描き切る。

その言葉から膨らます色彩と表情が、果てしなく綺麗で。

じっくり、ゆっくり、噛み締めて読み進め。

どっぷりと砥上裕將ワールドに浸からせて頂いた。

あなたの好きな小説は?と聞かれたら。

1000冊は読んでいるベスト3に入る作品。

中学生あたりから、ぜひ読んでもらいたい。

感受性の強い子なら、心に響くものがあるでしょう。

砥上裕將氏の次回作に大いに期待する。

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